ウォレットの移行は、暗号資産に関する操作の中でも、ひとたび間違えると取り消すことができないものの一つです。
このガイドでは、安全に移行するための手順を順番に説明します。インストールするものが正しいかを確認し、安全な新しい鍵を用意したうえで、実際の資産を動かす前に、すべてのアドレスを慎重に確認しましょう。
始める前に
どのウォレットから移行する場合でも、次の2点は共通しています。資産を移動するトランザクションは、一度承認されると取り消すことができません。
また、現実に発生する大きな損失の多くは、LaceやCardanoに問題が起きたことではなく、作業を急いでしまったことによって発生しています。
このガイドは、その両方のリスクを避けるために作られています。焦らず、順番どおりに進めてください。
最も重要なルール何かを操作する前に、必ずここを読んでください。
現在使用しているウォレットの鍵がすでに漏えいしている可能性がある場合、同じリカバリーフレーズをLaceに復元しても、問題は解決しません。
たとえば、次のような状況が考えられます。
- ウォレットが侵害された可能性がある
- 使用していた端末がマルウェアに感染している可能性がある
- ウォレット提供元からセキュリティに関する警告を受けた
秘密鍵は、どのアプリに入力しても同じ鍵です。新しいアプリに移したからといって、すでに誰かがその鍵のコピーを持っている可能性がなくなるわけではありません。
本当に安全な解決方法は、侵害された可能性のある環境で一度も生成・使用されたことのない、まったく新しい鍵へ資産を移動することです。
以下の手順では、その新しい鍵を作成して、そこへ安全に資産を移す方法を説明します。
現在のウォレットが侵害されている兆候がない場合でも、この方法に従うことは、セキュリティ上の良い習慣です。
ステップ0:公式の情報源だけを信頼するインストールする前に確認しましょう
何かをインストールする前に、それが本物であることを必ず確認してください。
ウォレットの移行を狙った、偽サイトや偽の「サポートツール」は数多く存在します。
Laceの唯一の公式サイトは、lace.io です。
ブラウザ拡張機能は、検索広告、フォーラムの投稿、第三者のミラーサイトなどからではなく、必ず公式サイト内のリンクからインストールしてください。
現在使用しているウォレットについても同じです。公式アプリまたは公式サイトへ直接アクセスし、突然送られてきたメッセージに含まれるリンクは使用しないでください。
あなたに当てはまる移行方法を選ぶいったん止まるべき場合:現在のウォレットが侵害されている可能性がある
プレッシャーを感じていても、急いで資産を移動しないでください。
鍵がすでに漏えいしている可能性がある状況では、慌てて移行する行為そのものが、新たなリスクになる場合があります。
まず、現在使用しているウォレット提供元の公式サポート窓口へ直接連絡し、自分で資産を移動する前に、その案内に従ってください。
実際に資産を移動する際は、古いリカバリーフレーズをLaceに復元するのではなく、以下の「ルートA」または「ルートB」に従って、新しいLaceのウォレットへ移してください。
通常の移行の場合:侵害の可能性がない
以下の「ルートA」または「ルートB」に従ってください。
可能であれば、古いリカバリーフレーズを復元するのではなく、新しい鍵を作成して移行しましょう。追加費用はかからず、鍵の漏えいに関するリスクを一つ減らすことができます。
また、全額を移動する前に、必ず少額でテストしてください。
Laceへ安全に移行する
Laceで新しい安全な鍵を使用する方法は、2つあります。
移動する資産の金額に応じて、どちらかを選んでください。
少額を超える資産を管理する場合は、ハードウェアウォレットとの接続が、より安全な方法として推奨されます。
ルートA:Laceをハードウェアウォレットと接続する(まとまった金額を管理する場合に推奨)
Laceは、Ledger とTrezor の両方に対応しています。Laceチームは、今後さらに多くのハードウェアウォレットへの対応も検討しています。
いずれの場合も、Laceはウォレットを操作するためのインターフェースとして機能するだけです。
秘密鍵はハードウェアウォレット内に保存され、ブラウザ上のソフトウェアに渡されることはありません。
1. Laceをインストールする
必ずlace.io からインストールしてください。
検索広告や第三者のミラーサイトではなく、公式サイト内にあるブラウザ拡張機能へのリンクを使用します。

2. ハードウェアウォレットを準備する
最初に、端末のファームウェアを最新の状態にしてください。
Ledgerの場合
Ledger Liveを使用して、最新のCardanoアプリもインストールしてください。
その後、Laceとの接続を開始する前にLedger Liveを閉じてください。Ledger Liveが接続を保持したままになっていると、Laceとの接続が競合する場合があります。
Trezorの場合
Trezor Suiteを使用してファームウェアを更新してください。
Cardanoへの対応はファームウェアに組み込まれているため、別途アプリをインストールする必要はありません。
ペアリングを開始する前にTrezor Suiteを閉じ、Trezor Suiteが端末との接続を保持していない状態にしてください。
3. Laceと接続する
ハードウェアウォレットを接続し、ロックを解除します。
Ledgerの場合は、Cardanoアプリを開き、画面に「Cardano is ready」と表示されるまで進めてください。
Laceでは、「Hardware Wallet」の項目にある「Connect」をクリックし、使用する端末を選択します。
Laceからアプリケーションパスワードの設定を求められます。
このパスワードは、現在使用している端末上でLaceの画面をロック・解除するためのものです。
新しいリカバリーフレーズは作成されません。秘密鍵はハードウェアウォレット内に保存されたままで、Laceは必要な情報を読み取るだけです。
以降、すべての操作は、ハードウェアウォレット本体の画面で確認・承認します。





4. 新しい受取アドレスをコピーして確認する
新しい受取アドレスをコピーしてください。
ブラウザ上に表示されるアドレスだけを見るのではなく、ハードウェアウォレット本体の画面に表示されるアドレスと照合します。
少なくとも、アドレスの最初の5文字と最後の5文字が一致していることを確認してください。
5. 残高全額を1回のトランザクションで送金し、署名する前にすべての送金先を確認してください。
ハードウェアウォレットでは、各送金先がデバイス上に表示されます。送金先として許容されるのは、確認済みのLaceアドレスとネットワーク手数料のみです。
トランザクションにチェンジ出力(change output)や想定外の送金先が含まれている場合は、署名を拒否してください。
ルートB:Laceをソフトウェアウォレットとして使用する(ハードウェアウォレットを使用しない場合)
1. Laceをインストールする
必ずlace.io からインストールしてください。

2. 新しいウォレットを作成する
最初の画面で「Import existing wallet」ではなく、新しいウォレットを作成する選択肢を選んでください。

3. ウォレット名と使用するアカウントを設定する
ウォレットに名前を付け、Cardanoアカウントを有効にします。
この画面では、BitcoinやMidnightも有効にできます。
設定が完了したら、「Create Wallet」を選択してください。
Laceから、アプリケーションパスワードの設定を求められます。
このパスワードは、現在使用している端末上でLaceの画面をロック・解除するためのものです。
リカバリーフレーズとは異なり、その代わりになるものでもありません。

4. リカバリーフレーズを保存する
Laceでは、リカバリーフレーズを保存する前でもウォレットの画面に入ることができます。
そのため、リカバリーフレーズの設定は「未完了の手順」として表示されます。
「View wallet」画面では、リカバリーフレーズの設定が赤色で警告表示されます。
その項目を開き、画面の案内に従ってください。
この手順を省略しないでください。リカバリーフレーズを安全に保存するまでは、ウォレットのバックアップは完了していません。


5. 新しい24単語のリカバリーフレーズを書き留める
Laceは、これまで一度も使用したことのない、新しい24単語のリカバリーフレーズを生成して表示します。
必ず紙に手書きしてください。
次の行為は絶対に避けてください。
- パソコンやスマートフォンに入力する
- スクリーンショットを撮る
- メモアプリに保存する
- クラウドドライブに保存する
紙は安全な場所に保管し、可能であれば、別の場所にもバックアップを一部保管してください。
その後、正しく書き留めたことを確認するため、Laceからリカバリーフレーズの再入力を求められます。
6. 新しい受取アドレスを確認する
新しい受取アドレスをコピーし、最初の5文字と最後の5文字を慎重に確認してください。
7. 残高全額を1回のトランザクションで送金してください。
署名する前に、送金先が確認済みのLaceアドレスとネットワーク手数料のみであることを確認してください。
トランザクションにチェンジ出力(change output)や想定外の送金先が含まれている場合は、署名を拒否してください。


Midnight Glacier DropでNIGHTを請求した場合
古いウォレットの使用を終了する前に、もう一つ確認すべきことがあります。
Glacier DropでNIGHTを請求した場合、トークンは一度にすべて受け取れるわけではありません。
また、ADAを新しいLaceウォレットへ移動しても、NIGHTの請求権が新しいウォレットへ移るわけではありません。
NIGHTは、請求時に受取先として指定したCardanoアドレスに紐づいています。
そのアドレスを管理するウォレットを削除したり、復元できない状態にしてしまったりすると、まだ受け取っていないNIGHTにアクセスできなくなる可能性があります。
NIGHTの解除スケジュール
割り当てられたNIGHTは、4回に分けて、それぞれ25%ずつ解除されます。
Midnight では、この解除を「thawing」と呼んでいます。
最初の25%は、開始後90日間の期間内にランダムに選ばれた日に解除されました。
残りの3回分は、その後90日ごと、つまりおおむね四半期に一度のペースで解除されます。
このスケジュールは2026年12月4日まで続きます。
その後、残っているNIGHTを受け取るための90日間の期間が設けられ、その期間が終了するとポータルは閉鎖されます。
ウォレット移行時に注意すること
Glacier Dropで指定した受取アドレスが、現在使用をやめようとしているウォレット内にある場合、4回分すべてのNIGHTを受け取るまでは、そのウォレットのリカバリーフレーズを安全かつ利用可能な状態で保管してください。
ADAを移行したからといって、そのウォレットをすぐに使えない状態にしてはいけません。
NIGHTを受け取る際は、公式ポータル へアクセスし、受取先アドレスを管理しているウォレットを接続するか、アドレスを直接貼り付けてください。
その時点で解除済みのNIGHTを引き換えることができます。
各回の解除ごとに受け取ることも、4回分すべてが解除されるまで待ち、まとめて受け取ることもできます。
引き換えのたびに少額のADAによるネットワーク手数料が必要です。
受取先の古いウォレットにADAが残っていない場合は、手数料を支払うためだけに別のウォレットを接続できます。
そのため、古いウォレットへ再びADAを送り戻す必要はありません。
このガイドのほかの部分と同様、ここでも重要なルールがあります。
必ず、redeem.midnight.gdだけを使用してください。
NIGHTの受け取りを早めると案内する別のサイト、メッセージ、または「サポートツール」は、すべて詐欺だと考えてください。
どの移行方法でも共通するルール
リカバリーフレーズや秘密鍵は、絶対に誰にも教えないでください。
正規のウォレット提供元やサポート担当者が、それらを尋ねることは決してありません。
リカバリーフレーズを、ウェブサイトやサポートチャットに入力したり、スクリーンショットとして保存したりしないでください。紙にのみ記録してください。
まとまった金額を送金する前に、受取アドレスを一文字ずつ必ず確認してください。
ウォレットを移行する際は、毎回必ず、全額を送る前に少額でテスト送金してください。
急がせるような案内は危険信号です。
正しいウォレット移行は、落ち着いて行うことができます。
急いで資産を移動するよう求めたり、確認手順を省略するよう促したりするものがあれば、いったん作業を止めてください。
問題が発生した場合
移行中に何かがおかしいと感じた場合は、そこで操作を止め、それ以上の資産を移動する前に確認してください。
問題が起きてから修復するよりも、事前に確認するほうが、常に安く安全です。
Lace、ハードウェアウォレットとの接続、またはこのガイドに記載された内容についてサポートが必要な場合は、Laceの公式テクニカルサポートページ (https://iohk.zendesk.com/hc/ja)を利用してください。
検索広告や誰かから送られてきたメッセージのリンクではなく、アドレスを自分で入力するか、lace.io内のリンクからアクセスしてください。
サポート担当者が、リカバリーフレーズや秘密鍵を尋ねることは決してありません。
Laceの正規の関係者も、それらを尋ねることはありません。
「サポート担当者」を名乗る人物から、リカバリーフレーズや秘密鍵を求められたり、代わりに資産を移動すると提案されたりした場合、それは詐欺です。
すぐにチャットを閉じ、通報してください。

